コラム
By
Management Team
基幹システムとは
鈴木孝一
基幹システムとは
(村岡)
基幹システムは、大分前に各企業が自前で構築し管理しているところが多いと聞きますが、そうなんですか。最近ではERPなどのパッケージ製品へ移行している企業もあるようですが、主流はそちらではないのですか。システムは、所有から利用へなどの話も聞きますし、今後の基幹システムを、どうすべきなのか、どのように考えたら良いのか、教えてもらえませんか。
(鈴木)
はい、まず基幹システムの定義を明確にすることから始めましょう。この認識合わせはシステムの話しに限らず重要です。なんとなく理解している程度で、システム構築を始めてしまうのは大変危険です。導入したシステムの効果が上げられないばかりか、システムがビジネスの足枷になることもあるからです。
(鈴木)
それではさっそく話をはじめることにしましょう。基幹システムの基幹とは、基(もと)となる幹の通り、企業にとって屋台骨ですから、必要不可欠なシステムと言い換えられます。つぎに企業にとっての屋台骨は何かを定義してみましょう。
(村岡)
話しの途中すいませんが、システムの話しからそれていませんか。
(鈴木)
大丈夫です。もう少し我慢してください。回りくどいようですが、これを曖昧にしてしまうとシステムの導入目的や達成目標がぼやけてしまい、システムの導入効果が発揮できなくなくなってしまいます。企業の業種や、状況によって、この回答も千差万別であるとは思いますが、まずは皆さんが自ら考えて定義して見ることをお勧めします。さて、みなさんの会社の屋台骨は何でしょうか。
(村岡)
はい、うちは小売業なので、商品の販売とそれに付随する業が屋台骨だと思います。
(鈴木)
それでは、その販売を支援するシステムの導入効果は、何をもって図ると考えたらよいでしょうか。
(村岡)
ここでシステムの話しに戻ってきたわけですね。そうですね販売システムはどこの小売店でも導入されていますし、これの良しあしで同業の競争に負けてしまいかねません。店舗追加や商品追加が簡単で、データ量の増加にも対応出来て、尚且つトラブルが少ないことでしょうか。
(鈴木)
話を纏めると「店舗追加や商品追加が簡単で、データ量の増加にも対応出来て、尚且つトラブルが少ない販売システム」がうちの基幹システムですと言うことでしょうか。
(村岡)
はい、その通りです。でもそんなの当たり前じゃないですか。
(鈴木)
それでは店舗あたりの追加工数、商品あたりの追加工数、データ量、トラブル件数について具体的な目標数値はありますか。
(村岡)
それはケースバイケースですから、簡単に決められるものではありません。あなたはシステムのこと本当に知っているんですか。
(鈴木)
そう怒らずに、もう少し付き合ってください。当初の要件定義で想定していなかった特殊な商品への対応などが発生する場合もありますし、その対応には相応のコストがかかりますね。
(村岡)
そうです。大きい声じゃ言えませんけど、そんな対応しても業績には関係ないと思うんですけどね。
(鈴木)
素晴らしい、その通りですね。
(村岡)
何が、素晴らしいんですか。からかわないでくださいよ。
(鈴木)
まさに業績にかかわるシステムこそ、基幹システムではないでしょうか。システムの導入効果と業績とをいかに結び付けるかを予め決めておく必要があります。
(村岡)
業績にかかわると言うと、必ずしも販売システムだけではないですけど。
(鈴木)
はい、あえて販売システムと定義する必要はありません。そこがポイントです。企業は生き物ですから、業績にかかわるシステムも変化すると考えておいた方が良いということです。
(村岡)
業績というと売上とコストの関係ですね。売上げがいくら上がっても、コストも上がるようでは業績には繋がりませんから。
(鈴木)
はい、売上げの向上と、コスト削減に寄与することが、基幹システムの最大のミッションということになりますね。従ってここでは一旦「企業の収益や売上に対する貢献度(関与度)が高いシステム」を基幹システムと定義したいと思います。
(村岡)
ということはシステム導入の効果は、売上げを阻害せずに、コストをなるべく低く保つことが目標ということになりますね。先ほどの特殊な商品への対応は、業績への貢献が疑問であるにも関わらず、それよりもシステムメンテナンスにより、システムが不安定になり、その後のメンテナンス負担が増加するなどの問題もありますね。いつもシステム部門が、経営から頭ごなしに怒られてばっかりでしたが、システム部門からのけん制効果もありそうですね。
(鈴木)
そうですが、そう言いたいのであれば、それなりの基幹システムであることが求められますね。